香りの分類

世の中には様々な香りがあり、多くの先人が香りの分類にチャレンジしてきました。
これが答え、というのはありませんが、ある程度香りを分類する言葉をまとめてみました。
ノート(Note)とは、香調という意味をあらわし、特徴の後につけて表現します。

 

フローラルノート(Floral Note)


花系の香りの総称です。
ローズ、ジャスミン、ミュゲ(すずらん)の3つを3大フローラルといいます。また、3大フローラルに次いで、ライラックも重要なフローラルです。その他、ヒヤシンス、チュベローズ、オレンジフラワー(ネロリの抽出方法が溶剤抽出のもの)、イランイラン、カーネーション、ナルシサス(スイセン)、バイオレットなどの名前を具体的に使う場合もあります。
ミュゲやライラックなど、天然精油として流通していないものもあります。
フローラルは他の呼び方と組み合わせて使うことが多く、複数のフローラルを組み合わせた香りのフローラルブーケ、フローラルグリーン、フローラルアルデヒド等が使われます。

 

シトラスノート(Citrus Note)


柑橘系のさわやかな香り。
フレッシュなレモン、ライム。
ジューシーなオレンジ、グレープフルーツ。
マンダリン系のみかんやゆず。
フローラルなベルガモット。(アールグレイの香りづけにも使われます)
大きくは4つの系統に分かれます。
通常、精油は柑橘類の皮から取れますが、果汁から採った精油なども生産されており、部位によっても異なった香りをもっています。また、レモングラスやメリッサなどのように、レモンを感じさせるハーブもあります。

 

フルーティーノート(Fruity Note)


シトラス系以外のフルーツ系の香りで、ピーチ、プラム、アップル、ベリー、などが感じられる香りを指します。ちなみに、シトラス系以外のフルーツから取った精油はありません。

 

グリーンノート(Green Note)


グリーンは青葉のような香り。
代表的な成分としては、cis-3-Hexenolという成分で、まさに葉っぱのような青臭い香りをもっています。精油だと、ガルバナムやバイオレットリーフなどが該当しますが、純粋に青臭い感じではなく、それぞれ特徴をもっています。

 

ハーバルノート(Herbal Note)


ハーブ系の香り。ハーブといっても様々ありますが、一般的にハーバルと言ったら、グリーンで薬っぽさやスパイシーも感じさせるような、香りを指しますが、清涼感のあるもの、レモンを感じさせる精油などもあります。

 

ミントノート(Mint Note)


いわゆる、ペパーミントやスペアミントのすーっとする香りで、成分でいうとメントールが該当します。
同じ清涼感のある香りでも、ユーカリやホーウッドはミント系とは若干異なり、ややメディシナルノートが入った香りです。

 

ウッディーノート(Woody Note)


樹木の心材のような香り。
樹木の香りといっても、様々な香りがあります。針葉樹系でシャープな香りのサイプレスやパイン(松)から、やや重めのシダーウッド、フローラルなローズウッド、重厚な香りのサンダルウッド(白檀)やアガーウッド(沈香)など、様々な香りがありますが、ど真ん中の樹木はシダーウッドあたりでしょうか。ローズウッドは現在ワシントン条約でほぼ輸入が禁止されている状態です。

 

スパイシーノート(Spicy Note)


スパイスのようなピリッとした刺激的な香りを連想すると思いますが、スパイスも様々。トウガラシのような辛いスパイス、シナモンやアニスのような甘いスパイスなどもあります。一般的にスパイシーというと、コショウのようなシャープな香りを指すことが多いです。

 

バルサムノート(Balsam Note)


樹脂の重く甘い香り。
ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサムなど、甘くて保留性が高い香りが多いです。ガルバナムも樹脂系ですが、かなり青臭さをもっているので、他の樹脂とは大きく香りが異なっています。

 

モッシーノート(Mossy Note)


樫の木に生えるオークモスやツリーモスのような苔の香り。
何に使うのか?と思われがちですが、世の中に出ている香水の半分以上はこのコケの香りを使っていると思われます。コケの香り?と思われるかもしれませんが、最も重要な香りの素材の一つです。

 

スイートノート(Seeet Note)


甘い香りの総称です。精油だとバニラなどが該当します。

 

アニマルノート(Animal Note)


動物系の香り。動物由来の精油として流通しているのは、ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどで、いずれも入手が困難です。原体の香りは、動物園の猛獣の檻の香りのような感じですが、薄めることにより花を連想させる香りになったり、香りに厚みを出すことが出来ます。ムスクの天然物は手に入れることはほぼ出来ません。

 

ムスキーノート(Musky Note)


動物系の中でも、麝香鹿の生殖腺分泌物であるムスクのにおい。そのままだと強烈な香りですが、薄めるととても奥深く官能的な香りがあります。現在、天然のムスクは流通していないと思われ、ムスクは合成品が用いられています。
植物性ムスクと言われる、アンブレットシードアブソリュートというのも流通していますが、こちらは信じられないぐらい高価です。

 

アンバーノート(Amber Note)


マッコウクジラの結石である、アンバーグリスの香り。甘さと言葉では説明しがたいほどに複雑な動物の香りが入り混じった不思議な香りです。

 

レザーノート(Leather Note)


新品の革製品を連想させる香り。カンゲラナというレザーを感じさせる樹木の精油もあります。

 

パウダリーノート(Powdery Note)


粉のおしろいをつけたような甘い香り。精油ではトンカビーンズ(桜の葉のような香り)、イリスやミモザなどが粉っぽい香りをもっています。トンカビーンズに含まれる、クマリンという甘い粉っぽい香りを持った成分が、香水などの香りを作るうえでは、非常に重要になります。また、ヘリオトロープというバニラにも似た甘く粉っぽさを持った、素晴らしい香りの花がありますが、現在は精油は生産されていないと思われます。

 

アニスノート(Anis Note)


アニスやスターアニスが持つ、甘く薬臭い香り。スターアニスは中華料理の八角のことです。フェンネルやキャラウェイなどもアニスノートをもっています。

 

メディシナルノート(Medicinal Note)


薬を連想させる香りです。ハーブの中にも薬を連想させるような香りが含まれているものもあります。例えば、ラバンジンに含まれるカンフルはややメディシナルで清涼感のある香りです。ラベンダーよりラバンジンの方がカンフルの含有量は多いことからそのように感じますが、ラバンジン自体はラベンダーとして販売されることもあり、フローラルのほうが強いです。また、薬草を感じさせるエルダーフラワーや湿布の成分を含むバーチという精油もあります。

 

マリンノート(Marine Note)


海辺や海藻を連想させる香りです。天然の精油ではシーウィード(海藻)のアブソリュートが流通しています。
また、水を連想させる香りとして、アクアノート(Aqua Note)やオゾンノート(Ozone Note)もあり、比較的新しい香水などで多用されていますが、この香りは天然の精油では存在せず、合成香料で表現されます。

 

ワキシーノート(Waxy Note)


ワックス(蝋)を連想させる香りです。イリスやビーズワックス(蜜蝋)のアブソリュートなどが流通しています。

 

タバコノート(Tabacco Note)


タバコを連想させる香りです。タバコのアブソリュートが流通しています。

 

アルデヒドノート(Aldehyde Note)


アルデヒドとは、化学構造の名称の一つを指します。合成香料の炭素数が6〜12ぐらいのアルデヒドが独特の脂肪のような香りをもっています。
アルデヒドの香りを有効に使った世界で最も売れている香水として、シャネルNo.5があります。合成香料なので精油では存在していません。炭素数が10、12のアルデヒドは石鹸のような香りを演出するのに、必須となります。

 

アロマティックノート(Aromatic Note)


ハーブガーデンの様々な植物が混ざり合った香りを指します。
グリーンやフローラルが混ざり合った、ラベンダーやタイムなどが該当します。

 

オリエンタルノート(Oriental Note)


お線香のような香りやスイートパウダリーな香り、アニマリックな香り等が混ざったような、エキゾチックな香りです。
東洋といっても、欧米から見た東洋を指すため、中近東のイメージです。
オリエンタルとフローラルが混ざった、フロリエンタルという造語もあります。

 

シプレノート(Chypre Note)


元は、Coty社が発売していた、シプレという香水の香りです。その香水の香りの系統をシプレと呼びます。シトラス、オークモス、アンバーを中心に、フローラル、ウッディー、アニマル、スイートを絶妙に組み合わせた香りです。

 

フゼアノート(Fougere Note)


男性のフレグランスに多い香りです。ラベンダー、オークモス、トンカビーンズに含まれるクマリンを中心に作られた香り。ひと昔前のポマードの香りと言ったら、思い出す人もいるかもしれません。

 

※確かな情報を元に作成していますが、間違い等を見つけましたらご連絡いただけると助かります。
 あわせて、香りを表現する言葉も参考にしてください。

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