香りの強さの感じ方と濃度調整の仕方
ブレンド香水などを作るとき、どのように濃度を合わせていますか?
精油の濃度を2倍にしても、人間が感じる香りの強さが倍になるわけではありません。
高価な精油を無駄にしないために、濃度を合わせる方法を覚えてみましょう。
ヴェーバー‐フェヒナーの法則
ヴェーバーと弟子のフェヒナーは、人間が感じる感覚と、濃度(強さ)の関係を科学して、数式にしました。
あくまでも数式は目安であり、数式では説明ができないケースもあります。
例えば、下記3つの濃度のラベンダーの希釈液があるとします。
【0.1%】 【 1%】 【 10%】
【 1%】は、【0.1%】の2倍の強さの匂いを感じます。
【 10%】は、【 1%】の2倍の強さの匂いを感じます。
【 1%】が弱いと感じるときに、
濃度を倍の【 2%】にしたからといって、香りの強さが2倍になるわけではありません。
実際に人間が感じる香りの強さは、約1.3倍です。
【 10%】が強すぎると感じるときに、
濃度を半分の【 5%】にしたからといって、香りの強さが0.5倍になるわけではありません。
実際に人間が感じる香りの強さは、約0.7倍です。
しばらく(線の間)、数学が嫌いな方は読み飛ばしてください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヴェーバー‐フェヒナーの法則は、下記の式で示されます。
I=alogC
I:匂いの強度
a:匂い物質による定数
C:匂い物質の濃度
この式で匂いの強度Iを2倍にするためには、
匂い物質の濃度を10倍にしなければならないことを表しています。
また逆に匂いの強度を半分にするためには、
匂い物質の濃度を1/10にしなければならないことを表しています。
ヴェーバー‐フェヒナーの法則は、あらゆる感覚に対する公式です。
味覚、聴覚、触覚、痛み・・・。
例えば、10倍の強さでつねると、痛みが2倍になる、ということになります。
ただ、痛みが2倍、と数値化することは難しいと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
濃度と香りの強さの合わせ方
ヴェーバー‐フェヒナーの法則の法則を踏まえ、簡単に香りの強さの合わせ方を説明します。
なお、初めて使う精油は、低濃度から試すことをお勧めします。
香りが強すぎると感じる場合
ブレンドなどで入れすぎて香りが強すぎる、と感じる場合は、半分を試さずに、
濃度を一気に1/10か1/100に落として試してみてください。
アクセントに使うような精油は、濃度を1/1000にしても効果を発揮します。
例えば、バニラの香りを100%濃度だとバニラと感じますが、
0.1%をブレンドに使用すると、まろやかな香りになります。
ストレートで用いるより、低濃度で強力な効果を発揮する精油として、例えば下記が挙げられます。
ダバナ:フルーティーノートになり、香りをまとめる
ガルバナム:香りをみずみずしく
コニャック:香りに奥深さを与える
ローズアブソリュート:フルーティーノートを与える
ほかにもたくさんあると思いますが、ご自分の隠し味と最適な濃度を探してみてください。
香りが弱すぎると感じる場合
弱すぎると感じる時は、香りの強さを2倍にするために、いきなり10倍濃度にするのは失敗する可能性もあるため、少しずつ増やしたほうが無難です。
倍、倍ぐらいで増やしていくとよいと思います。
少量を加えたい場合の工夫
1滴よりも少ない量を加えたい場合は、あらかじめ無水エタノールなどの希釈溶媒を用いて、10%溶液、1%溶液を作っておくとよいと思います。希釈する濃度は、精油の香りの強さによって異なるため、最適な濃度を探してみてください。
水は溶けないので使用できません。エタノール以外だと、グリコール類、植物油脂などが適していますが、精油によっては溶けない場合もあるので、注意してください。
また、精油と溶媒は反応し、熟成して香りが変わることがあることを覚えておいてください。
※確かな情報を元に作成していますが、間違い等を見つけましたらご連絡いただけると助かります。